「ぽっかぽか」第59話
「おやすみなさい」

――子育てにいきづまった時に、思い出したい3つの言葉。それは――!?
(YOU掲載時の表紙リード)

オリジナル初出 YOU 2003年12月15日号・No.24/2003年12月1日発売
単行本収録 コミックス、文庫未収録

(2003/12/02)

今回は母親の育児ストレスと孤独がテーマです。悩みを抱えた新しい登場人物が麻美たちに癒されていくというストーリーは「のはら」「ころころぽん」「やさしい」等の作品と同じ展開なので、読んでみて「以前と似た話だな」と思った人も多かったのではないでしょうか。それに、今回のタイトルは「おやすみなさい」なのですが、ストーリーではむしろ「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」のシーンに重きが置かれていて、あまり「おやすみなさい」という話にはなっていないんですね。(^^;)

それでもさすがに深見先生。「(子どものことを)よーく見てると言ってることわかるわよ」という重要なセリフを今回も残しています。このお話に出てくる「まさとくん」は喃語の赤ちゃんですが、本当に「言ってることがわかる」年齢の子どもであっても、大人は子どもの話を意外に聞いていないのです。小さい子どもは予想のつかない行動をするため、どうしても行動のほうに目が行ってしまい、子どもの発するメッセージに気づかないのです。子どもを観察することってほんとに大切だと思います。

さて、ラスト10ページでは久々にクリスマスの風景が描かれています。慶彦はようやくクリスマスを祝う気になったんですね。(^^)
でもこれってあまりに昔の話ですから、「ぽっかぽか」を最近知った人は「なぜ慶彦はクリスマスが嫌いなの?」と疑問に思われた方も多いのでは? 何せこのエピソードは、コミックス3巻(文庫2巻)の「くりすます♪つりー」にまで遡るのです。この話の初出は1990年12月ですから、実に今から13年も前の話なんですね。まあ確かに田所家の中では時間は進んでいないのですが……。
慶彦がクリスマスを嫌う理由については、そのお話をお読みください。あんまり大した理由じゃないです。(笑) 説得力もないし、むしろ理不尽なことを頑なにこだわっていた、というべきでしょう。
初期の「ぽっかぽか」にはこういう、今からすればちょっと不似合いな設定がいくつかあります。麻美のタバコなんかもその一つだと思うのですが、先生も時が経つにつれあまりに似合わない設定は直しています。麻美のタバコはだいぶ前になくなりましたが、慶彦のクリスマス嫌いは今回ようやく修正、といったところでしょうか。
いずれにせよ、やっと田所家にもクリスマスがやってきたわけで、素直に良かったんじゃないですか?


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