――大変な子育てを、楽しくて優しい時間にするには!?――
(YOU掲載時の表紙リード)
オリジナル初出 | YOU 2002年12月15日号・No.24/2002年12月1日発売 | |
単行本収録 | コミックス第13巻、文庫未収録 |
(2002/12/13)
今回は、麻美とあすかが家を離れ泊まりに出かける、という珍しいお話です。出張などで慶彦の外泊は何度か描かれていますが、母と子の小旅行(?)はもしかしたら第3話の「バナナサンデーの日々」以来ってことになるのでしょうか?(^^;) ともかくここ数年なかったのは確かで、それだけでも新鮮です。
前回に続きみどりちゃんのお母さん(酒井さん)が登場し、麻美を「母と子のふれあい教室」というイベント(園児の家族も参加可能な、保育士の研修)に誘うという展開になります。幼稚園では年長になると夏には「お泊まり会」があり、親を離れてひと晩園で合宿する、という行事がありますよね。でも親もいっしょに泊まるというのはまずないと思います。ストーリーの後半で、園長先生が各方面に頼み込んで無理矢理実現させたという経緯が明らかになりますが、確かにありそうでないイベントですよね。
深読み好きなわたしは、深見先生がどうしてこのようなあまり一般的でない展開を思いついたのか、そちらのほうに興味が引かれました。(^^;) 普段お世話になっている保育士さんだけでなく、カウンセラーの人も参加しているというのがポイントです。
最近では小中学校にも臨床の専門家が少しずつ入るようになってきていますが、幼稚園・保育園に入っている例は聞いたことがありません。もちろんこの場合、相談する相手は幼児ではなく親になるので、園に常駐しても意味がないからですが、今回の話で書かれているようなイベントは、実際に多くの親たちが必要としているものだと思います。
何しろ実際に臨床を実践する者が自分のごく身近な存在に居ることもあって(^^;)、話も具体的になりがちですが、自治体や大学が研究活動の一環として行っている個人相談やグループ相談会には、実際にひっきりなしに依頼がやってきます。具体的に相談してみようという行動に出る人は悩んでいる人たちの氷山の一角にすぎないことを考えると、潜在的な需要は相当なものがあるでしょう。
今回の話で思わずうなってしまったのは、園長先生たちが巨大な人形を持ってきて、「これが1歳児の子供から見た大人です」と示したシーンです。このアイデアは秀逸ですね。少なくとも親としてこの話を読んだ人なら、誰でも強烈な印象として残るはずでしょう。
麻美は今回も完全にわき役で、単なる母親参加者の一人でしかありませんでした。「のはら」「ころころぽん」と同様、今後の原作にはこのようなメッセージ色の強い作品も増えていくのかも知れません。七瀬さんが演じたドラマの麻美は、その強烈な個性で周りの人を巻き込んだ騒動を起こしていくキャラクターだったことを考えると、ずいぶんと変わってきたものだと思います。やはり、それだけ世の中は変わっているということなのでしょうね。
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